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いつの間にか、2月に入っていた。
「ヤバいー、数学死んだぁ……」
隣で美穂が突っ伏しながら叫ぶ。何のことかと言うと、丁度今日終わった学年末試験のことである。
「あれはムズかったよなー! 俺もやべえ」
手塚との一件以来よくつるむようになった夏川もまた声を上げた。
月曜日から始まった4日間のテストが今日で終わり、ほとんどの生徒が浮き足立って早く下校するのに、私達は3人で教室に残っていた。どうやら美穂は数学Ⅱのテストでやらかしたらしく、押しても引いても動かなかったのだ。
「あのミニオン……性格悪い……」
“ミニオン”というのは数学の教科担当教師である。声の高さと早口さから生徒達の間で密かにそう呼ばれている。
「まあでも赤点は無いでしょ?」
「分かんない……あー、もう! 何でうちの赤点は30点じゃないの!?」
イライラしたように美穂は言う。
うちの学校は赤点が50点であり、それを下回ると追試となる。謎のシステムだ。
確かに今回のテストで50点以上というのは微妙なラインだったかもしれない。学年で赤点続出しそうな予感がする。
「ていうか、優子めっちゃ余裕じゃん? 出来た訳?」
「んー……とんでもないミスとかしてなければ75はいってると思うけど」
「え、橘って頭良いのかよ……同類だと思ってたのに」
そんなことを言うけど、夏川も美穂もそんなに勉強が苦手な訳じゃない。
「とにかくほら、元気出しなって」
美穂の肩をポンポンと叩いていると、ガバッと彼女が起き上がる。
「あれ、今日何日!?」
「え? 2月13日だけど」
「うっそ、明日バレンタインじゃん!」
何を言い出すのかと思えば。

