君はとても純粋で、明るくて、優しい。だからきっと僕の知らないところで、君の周りには大勢の人がいるんだろうな。そう思うと少し怖い。君のその綺麗な心が汚されるんじゃないかって。

綺麗な心を失った君は、僕を忘れてしまうかもしれない。もう僕に会うこともなくなるかもしれない。この夏祭りの記憶も、僕のことも、記憶から消されてしまうかもしれない。それがただ、怖いんだ。

君を愛するなんて、きっと夢のまた夢。それでも心のどこかでは君を想っている。こんなにももどかしくなるなら、いっそ君のことをーーー。

「攫って僕の中に閉じ込めたい」

そう僕が言った刹那、花日は笑顔を見せてくれた。お祭りの中で何度も見せてくれた無邪気な笑顔。その顔を、何度だって頭に焼き付けている自分がいる。

僕の呟きは、夜空に咲いた大輪の放った音でかき消されてしまった。君は、僕のこのどす黒い気持ちも知らないまま笑ってる。

「綺麗だね、お兄ちゃん!」

そう笑う花日に、僕は泣きそうになりながらただ頷くんだ。