桐谷くんの下宿先は駅から見える、一階が美容院になっているアパートだと陽十香が前に言っていた。


 コンビニから出て目的の桐谷くんのアパートの前に着いた時、私は桐谷くんに電話をかけた。


 自分は何をやっているんだろう、と発信する時に急に我に返った。


 あんまり話したことのない桐谷くんにどうしてここまで?


 でも知っている。


 知っているんだ。


 一人で熱にうなされる苦しさを。


 風邪の時に自分で家事をしなければいけないしんどさを。



『・・・新田さん?』


 出てくれるまでにかなり時間がかかった気がした。


 よく考えれば私は男の子と電話したことがない。


 急にドキドキしてきた・・・。