「そうなんだ! まだ苗にぴったりの素敵な人が現れてないんだね~」


「・・・・・・!」


 陽十香は驚きも、笑いもしなかった。


 私にとって、恋愛経験どころか、人に対して「好き」だという気持ちすら抱いたことがないということは、恥ずかしいことだった。


 周りから聞こえてくる女子の会話や、友達同士でする話と言えば、大抵恋バナだった。


 みんなと一緒に話していても、なぜだか自分だけひとりでいる気分だった。。


 恋バナの何がそんなに楽しいのかわからなかったし、共感も出来なかった。

 
『好きな人いないの?』と聞かれるのが本当に苦痛だったし、出来ることなら私もそんな会話に参加してみたかった。