「別に別れたくて別れた訳じゃなかったしさ、高校も同じだったから卒業まではかなり引きずったんだ」


「そうだったんだ・・・」


 声色でその時のことを思い出してつらくなっているのがわかる。

 
 私まで胸が締め付けられた。


「ごめんね、暗い話がしたかった訳じゃないんだよ・・・。ただ、また付き合って、思い出が増えて、別れて・・・・・・っていう結末が来るのが怖い」


「そうだよね。大事なものを失くしちゃうのって、怖いよね・・・」


 電車の中は段々人が増えて来て、いつもの朝が来たということを実感させられる。


 自然と、私と陽十香は話をやめて静かに電車に揺られた。