それ以降、駅前のカフェに先輩は現れなかった。
そして何年か経ち、高校を卒業し、地元に就職する。

そんな中、秋の地区体育祭――


姫華「あ、リーダー!」

上司「お、結月ちゃん、来てたんだ」

姫華「地域のイベントくらい参加しなさいって、兄に連行されました‪w」

上司「そうなんだ‪w」

姫華「あ、私戻りますね〜」

上司「またね」

姫華「はい、また〜」(よし、戻ろう)

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姫華「ん…?」(赤い髪の毛…あれ?あの人…)

伊織「あ…」

姫華「うわっ…!?」(に、逃げよ…)

伊織「あっ、待て…!」

姫華「つ、捕まった…」

伊織「顔みて逃げんなし、」

姫華「だって髪の毛赤いし、キモイ」

伊織「キモイ……」

姫華「てかなんでいる訳」

伊織「弟の送り迎えで迎えに来てたとこ」

姫華「そーですか」

伊織「姫華ちゃんこそなんでいるの」

姫華「お兄ちゃんに連行されたの、たまには地域のイベントに参加しろって、それでたまたま上司見つけたから話してたの。その帰りに変な人にあったから逃げた」

樹「兄貴、学校出て変わったよね…いや、出る前か」

姫華「彼女、いるんでしょ」

伊織「正確にはいた、かな。もう別れたから。」

姫華「へぇ、」

伊織「そーゆー姫華ちゃんは?」

姫華「いたらこんなとこにいないし」

伊織「だよなぁ…今度ゲーセン行くけど姫華ちゃんどう?」

姫華「どうって…」

伊織「たまには出かけないのかなって、聖奏が心配してたから、仕事ばっかで土日家にいて暇してるから、姫華に避けられてなきゃ連れてけって。」

姫華「お兄のバカ」

伊織「で、どーするの」

姫華「ゲーセン行って何するの」

伊織「クレーンゲーム、こーゆーのとか取る」

姫華「バンドリ…」

伊織「これうちにあるけどあげよーか?いらないし、ついでにほかのフィギュアもゲーセンで取ろうか?」

姫華「…じゃあ行く」

伊織「LINEで連絡するから」

姫華「LINE消した」

伊織「ぅおい…。……はい、QRコード」

姫華「ん、……アイコンキモ」

伊織「前からこれだよ」

姫華「嘘だぁ…」

伊織「まぁいいや、また今度ね。」

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『後日・日曜日』

聖奏「今度は迷わないんだな」

姫華「たかがゲーセンでしょ、彼氏じゃないんだし」

聖奏「ハイハイ、気分転換してきな、」

伊織「おは、行くぞ。」

姫華「車どこ乗ればいい」

伊織「助手席」

姫華「わかった…」

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『ゲーセン』

伊織「バンドリバンドリ…」

姫華「あ、Roselia軍…あこちゃん」

伊織「あこ、欲しい?」

姫華「欲しい」

伊織「このタイプかぁ」

姫華「苦手ならとんなくていいよ」

伊織「いや、取る。」

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姫華「いっぱいとったね」

伊織「ひめかちゃん、満足した?」

姫華「まぁ、それほどに。」

伊織「なら良かった。」

姫華「遠距離だからとはいえ、彼氏持ちの女の子をよく遊びに連れてくとは……」

伊織「いたの?!」

姫華「いるし、彼氏ぐらい」

伊織「この前いない的なこと言ってたから」

姫華「まぁ、別れようとは思ってる。1回別れ話出したけど向こうが粘ってるから」

伊織「ふーん、姫華ちゃん、別れたいなら協力しようか?」

姫華「協力って例えば?」

伊織「別れ方にもよるけど、彼氏との電話中にわざと話しかけて『え?君とは別れたけど?』って言って切るとかそのあとブロ削は必須だけど」

姫華「…ふーん……」

伊織「それか、姫華ちゃんから電話かけて俺が話す、とか」

姫華「いや、そこまではしなくていい、するなら前者かな」

伊織「すぐ別れたいなら来週の休日にでも実行する?」

姫華「そうだね…まぁ私からももう1回別れ話切り出すけど」

伊織「ほい、家ついたよ」

姫華「ありがとう…お兄、出かけたのか、」

伊織「またね…また、連絡するよ」

姫華「うん、ありがとう…」

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『自室』

姫華「元カレ相手にときめくとか…意味わかんない……」