風邪だと思ってたのが喘息だったってこと?

いや。確かに薄々、普通の風邪ではないとは
思っていたけど…まさか喘息なんて。

和弥「…1人暮らしだったな。実家近いか?」

なんで今実家の話?別に癌とかじゃ無いんだから
わざわざ連絡する必要ないでしょ…。

というより…これ以上思い出したくない。
自分を捨てた親の事なんて…。

「実家、ないです。親と呼べる人は居ません。」

和弥「じゃ親戚とか?」

「…いません。」

和弥「そうか…。とりあえず、今の状況で家に
帰すことは出来ない。苦しくなるのは、おそらく
発作だ。しばらく入院して様子を…」

しばらく考えた後、そんなことを言い出す和弥さん。

「えっ!入院⁉︎ゴボッ…む、無理です。入院なんて。
そんな大袈裟なことないです。苦しいって言っても
しばらくすれば落ち着くし…。」

和弥「ダメだ。そもそもこんなに放置してる事すら
危ない。拒否権はないから」

「ゴホッゴホッゴホッ…(やばい。また咳が…)本当に‼︎
本当に…入院は出来ないんです‼︎入院だけは…」

必死になって、拒否をし続ける私。
呆れられても仕方がない。

それでも…

和弥「…なんかあるのか?」

いつだって冷静な和弥さん。

「…あの。その…お金。お金が…なくて。
すみません…入院は…できません。」