……


慶太「…きちゃん、あきちゃん。聞こえる?」

微かに聞こえる慶太さんの声。
身体も怠くて思う様に身体が動かないけど、
瞼を開ける。

慶太「…わかる?」

頷く。

慶太「手、握れる?」

何とか手を動かす。

慶太「うん、とりあえず安心だね。
少し様子を見て大丈夫そうなら、
この管抜いてあげるからもう少し我慢ね」

…頭がボーッとする。

管ってなんだ…あ、口のこれか…。

しばらくすると

慶太「亜妃ちゃん、今から口の管抜くね。
何も心配いらないからね。
ちょっとの間、目瞑ってようか。」

そう言われて目を瞑る。

看護師に肩を押さえられて、管が抜かれる。

それと同時に口に細いチューブを入れられ、
凄い勢いで口の中の唾液が吸引される。
チューブは喉の奥にまで入れられてさらに吸引される。


…く、苦しい…

「グッ…ゴボッ、ゴホッゴホッ…」

これ、嫌だ…辞めて。

無意識に手で払おうとすると、手を押さえられる。

看護師「ごめんなさいね、もう終わりますからねー」

吸引が終わって口からチューブがなくなる。

「……」

あまりの苦しさに涙が出てくる。

慶太「ごめんな、苦しかったね。
もう終わりだから。」

そう言いながら私とモニターを見比べている。

…そういえば私なんで病院にいるんだっけ。


思い出せない。