そうして得意な社会を授業を経て、6時間目の総合の時間になった。

もともとは理科の予定であったが、修学旅行の準備を間に合わせるために3学年はこの時間が総合になった。

今日は班の中での役割と、行先の候補を固めるらしい。

5人で集まり、話し合いを進める。

…まぁ幹部会の派生みたいなもんか。

「よし、さっさと進めて雑談しよう!」

…あや、君班長よね?

「あや、貴方には班長としての自覚はあるの?」

「りん、同じこと考えてた。」

「「僕も」」

あ、なんかデジャブっぽい。

「ごめんねみんな。」

お主、反省する気ないな?

「じゃあ役職決めね?紙配るわ。」

おっ、ちゃんとやろうとしてる、偉い。

あやから渡された紙には、
班長
副班長
地図
会計
保健
という役割のリストがあった。

「これに名前書けっていうことでしょ」

ゆう、話聞いてた?

「あ、それでね」

何だい班長。

「班長と副班長の性別は逆じゃないとだから、けいかゆうどっちかね」

「何その男女意識」

りんが心底嫌そうな顔して言う。

「こういうイベントによくある男女の仲間割れ防止でしょ」

けいがどうでも良さそうな顔をする。

「それうちら必要なくない?」

思ったことをそのまま言うと、皆が頷いた。

やっぱそう思うよね。

「まぁ、美玲とけいが2人でどこか行くってことはあるかもね」

「りん大丈夫、そんなことしないから」

私が即座に否定すると、けいがとんでもない事を言い出した。

「部長、それいいね。」

「はぁ!?」

私は思わず声をあげる。

やばい。

こちらを向いたクラスのみんなに「ごめんね」と謝る。

「けいがいうと本気でやりそう」

ゆうが笑いながら言う。

「男子2人、副班長決めて。」

りんが話を戻す。

「じゃあ副部長だからゆうが副班長。」

え、そういう理屈あり?

「いや、理由になってない」

「じゃあゆうは嫌なの?」

「そういうのではない!」

「じゃ、決まり。紙に書こ。」

まぁゆうも満更でもないという顔なので、紙に書くことにした。

「じゃあ後はせーので指す?」

あやの提案に、3人は頷く。

どれにしよ。うーん、会計かな。

「よし、せーの!」

私は会計の欄を指さす。

けいは地図、りんは保健。

「あ、平和的」

大丈夫、副班長の性格のほうが平和的。

「じゃ書いて先生に出すわ」

そっか、提出しなきゃだもんね。

結局、
班長:美園あや
副班長:鍋谷ゆう
地図:新川けい
会計:早乙女美玲
保健:和高りん

という班編成になった。

あやが紙を先生のところに持っていったら、
「早過ぎない!?」
ってびっくりされちゃったけど。

「さぁ、次は行く場所!
クラス見学の場所決めてないからまだ確定はしないでって」

あやが席に戻ってくる。

「4~5ヶ所でしょ?」

そうだけど、りんどうしたの。

「多分私が行きたいところにみんなの行きたいところが入ってると思うから」

え、いくつあるの。

「リストアップしてみてよ」

私がそう言うと、りんは班編成表?の裏側にシャーペンを走らせる。

「というか役割の中身知らないんだけど私」

実は先生の話あんま聞いてなかったのよね。

「確か、会計は支払いをまとめてするとかそういうやつだったと思う。」

おっ、流石副班長。

「てんきゅ」

「もう、美玲ちゃんったら悪い子なんだから☆」

「あや、そのテンション背筋凍るからやめて」

「美園さんの言い方は置いといて、美玲、僕に聞いても良かったんだよ?」

「私みんなに聞いたんだけど」

そんなやりとりをしていると、りんが「よし!」と言った。

出来たのね。

「はい、見て。」

――まじか。

それに書かれていたのは

清水寺
平等院鳳凰堂
壬生寺
二条城
金閣寺
銀閣寺
伏見稲荷神社
龍安寺
仁和寺
東福寺
+京都駅でお土産

という大量の行き先候補。

「まぁ、いいんじゃない」

みんなそのコメントが精一杯のなか、りんは水を得た魚のように生き生きと語る。

結局、私たちはそれをそのまま候補として提出したのであった――