「もう、隠さなくていいよ」

「かくしてません。もういいですか?」

去っていく美玲の腕をつかむ。


「美玲。ごめん。俺なにも知らなくて。傷つけてごめん」

もう、美玲はこんな俺とは話したくないのかもしれない。

美玲を傷つけることしかできなかった俺なんかと。



「玲司は...何も悪くないよ」

「っ、美玲...」

「あの頃は、つらかったし苦しかったし、死にたかった。でも、玲司のせいなんて思ったことは一度もない」

「じゃあ、どうして...」

「あの頃は、玲司を突き放すっていう方法しか浮かばなかったからかな。でも、それがわたしなりに出した答えだったの」

「...」