「美玲!」


部活終わりの美玲を見つけて声をかけた。


「っ、ありしま、せんぱい?」


よく考えたらわかることだった。


声も、少しだけ伸びたけど相変わらず低い身長も、彼女がもつラケットも、よく目を凝らさないと見えないけどうっすらみえる傷痕も。


全部、彼女が美玲だということを物語っていて。

でも、まさかって思うじゃないか、普通は。


「どうしたんですか?」

「美玲なんだろ?佐々木、美玲」

「違いますよ、誰ですかそれ」

強気な部分も、変わらない。

3年前となにも変わりはしない。

ただ、大人びた彼女の顔は、変わってしまったけれど。