「また、俺のせいでケガさせちゃったね」

わたしの手をみて「ごめん」とつぶやく先輩。


傷なんて残ってないし、全然大丈夫なのに。

あの騒ぎは広まっていて、先輩たちは叱られたと聞いた。

だから先輩は知ってるんだ。

わたしは別になにもいわなかったのに。


「あのときは足で今度は手か」

「先輩のせいじゃないです」


先輩は何も悪くない。


「ねえ、俺と付き合ってもいいことないよ。またこういう目に遭うかもしれない」


先輩はどれだけ人気があるのか自分でわかってる。

でも、決してわたしのことを助けてくれはしない。

きっとそれは中途半端な優しさになってしまうから。