「...先輩たちは、有島先輩の何を知ってるんですか?」

そんな、火に油を注ぐようなことを聞いてしまったのはどうしてだろう。


「あ?」

案の定振り返った先輩たちの顔は例えるなら鬼。


先輩がわたしの胸倉を掴んできた。

殴られる―――。



「先生!こっちです!!」

「ちっ、いくぞ」

もうあと数秒遅かったら、わたしは殴られていただろう。


「かんな!!大丈夫!?」

先輩たちが去っていった方向と反対からきた美玲。

「うん。まだ、なにもされてないから」

「でも、手。血がでてるよ」

「それより、先生は?」

「嘘だよ。先輩たち結構いろいろ悪いことやってるみたいでさ。3年生だし受験に響くから先生ってワード嫌いかなって思って」

「なんで、そんな危ないこと」

もし嘘だってばれてたら美玲まで殴られてたかもしれない。


「とりあえず、保健室いこ」

そんな大した傷でもないのに、美玲が保健室にいこうといったのはなにか理由がある気がして。

わたしは素直に従った。