カコンッ……

ザッザッザッザッ……・



今日は風がつよい。
雨の臭いに混じる俗物の臭い。

「嫌な空じゃ」

櫻院は境内を掃く手止めた。


…風馬………。



「風馬を知ってるだろ」

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塀の上から黒い塊が降ってきた。

「…お前は…!」

「ひさしぶりですね。こんばんは櫻子ーーーいや……櫻雲寺 尼 、櫻院」

「今更」

顔をこわばらせた櫻院に小さい紙を差し出してきた。
恐る恐るそれを受けとる。

『京本恵介(きょうもとけいすけ)ーー?』

「それが今の私の名前です」

彼はスーツの裾を丁寧に整えて座り、失敬と微笑んだ。

「あの子は…風馬は今は私の知人の所で静に暮らしております。普通の生活をしようと彼なりに努力を。それに彼は…」

「私なりに身辺を調べさせて頂きました」

「だったら」

「安心しております。私はあれはビジネスだったと今でも誇りに思っております。たからです。私の元にした彼らを人斬り集団の汚名を晴らす義務がある」

クスクス…