……普通にびっくりした」

無駄に長い廊下。
砂利が敷かれた庭。
畳とちゃぶ台。
木の本棚っぽい所に整頓されたアルバムケース。

……思い出した。





曾祖母と遊んだ部屋だった。

……ここ。今 思えばあのとき遊んだ場所にお手玉しか得意なことはない、と銀色の歯を見せてわらうバーバの姿を僕はすっかり忘れていたのかもしれない。『倉庫』。
それが今のここの存在価値。



ーーーー息を呑むほどの存在感…ーーーー




「ばーか。」

「ほら、見てくださいよ。今宵は満月ではないですか。」

「その前に。お前は何て言った?」

「月が綺麗ですねーーでしたか」

「お前はいつまでも独り身でいないで、その言葉に似合うひとを連れてこいよ」

「私はあなたとこうして生きることが幸せです」

「だーかーら!!」

京ノ介の言葉にやきもきして彼は笊を手放して焦れったそうに立ち上がった。

「それもだ。いつまでも独り身で。お前は顔立ちも容姿も然程、悪くもない。いないのか、そういう…」

言いかけて言葉を呑む。

ーーー出きることなら。

好いたおなごと添わせてやりたい。