「珍しいな、そなたが手伝いなんて」

「外に出たかったんだよ」



兄貴のパシリでコンビニへ向かっていただけなのに暴走してきたバイクに後ろから突っ込まれたかと思ったら、この時代にとばされて来ていた。
金銭も携帯電話ないとどうにも動きがとれないのだと思い知らされる。

「助かったよ、ありがとう」

小さな子どもをあやすように彼は僕の頭を掴んでグシャグシャ撫でて髪を散らかしてきた。

「美桜さん、綺麗だと思う。」

「ん?」

不意討ちに言われて一瞬、戸惑った様子を見せたがクスクスわらって「急ごう」と云って歩きだした。

「聞いていたなら入って来ればいいのに」

「タイミング…入っていいか分からなかったから」


そうこう話しているうちに縁側に続く扉の前に着いた。

「おかえりなさい」

棒読みな声が迎えてきた。
真っ先に荷物を取りに来てくれるいつもの姿がない。

「美桜さんは」

僕はあちこちを見回した。

「母親をさがすガキかよ、落ち着かねぇ」

竹をしならせてる背中でうろうろしていた僕は隆之介の邪魔だったのだろう。

「俺が帰れと言ったんだよ」