「そう言えばさ」
「ん?」
「京ノ介はまた外回り?」

サラリーマンのみたいな営業?

「今日はお使いよ。いつも納めている和菓子屋さんに小さな笊を届けに。そろそろ帰って来ると思うわよ」

「京ノ介って黙ってたらイケメンだよね」

「…池?」

「あ、何でもない。それ、貸して」


僕はくびを横に振って洗濯物の入った篭を彼女から取りあげて廊下へ上がった。

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「お前はどう、思う?」

隆之介に頼まれた物を届けに来た僕は障子を開ける直前に手を下ろした。



「私には似合いませんからお断りをお願いします」

ふかぶか頭をさげる彼の姿は普段のやわらかな物腰とはかけ離れすぎていた。

「美桜が良いのか?」

「美桜殿は…考えたことがありませんでした。」

何故か、その言葉に安堵して吹き出してしまう声を抑えた。



「…対象外で考えたことないってか。プハハッ……!見るからに色気がないもんな」

……ははは。
ひどい言われよう。