大好きな君に

「もっと美味しいケーキ作れるように
練習しておきますね」

今度は本当に素直に笑って出てきた言葉だ

彼女は真赤になった鼻をして
「十分美味しかったです・・ありがとうございました」

財布を出す手を僕が止めると
また申し訳なさそうな顔をして
優しそうなキルト生地の鞄から写真を1枚取った

僕にそれを渡すと

彼女は扉の向こうの深い夜に消えていった