大好きな君に

「美味しくなかったですよね・・?
すみません。初めて作ったケーキなんです。
ここは親父がやってた店で・・・」


泣いている彼女の前で
精一杯の作り笑顔で言った



「美味しいです。・・とっても。
美味しくて・・
ごめんなさい。泣いたりして」


何かあったんですか?
優しく尋ねられたら
とってもカッコいいんだろうけど
イケてない僕には到底できそうにもない


石油ストーブの温かい匂いだけがこの部屋を包む

初対面のはずで
もう二度と会うことのないであろう彼女が
急に愛おしくなった