もちろん、年齢は関係ない。


「見つかったんですね。良かったです。あの……工藤様なら……良かったら私がお届けしましょうか?」


茅野君が、遠慮がちに言った。


「ありがとうございます。大丈夫です。私がお届けして来ますね。でも、どうかしましたか?」


茅野君の態度が、ちょっと意味ありげに思えたから聞いてみた。


「いえっ、何でもないです。気をつけて……行って下さい」


やっぱりおかしい? お客様にお届けするのに「気をつけて」なんて。


普段そんなことを言わない人だから変だとは思ったけど、それ以上敢えて何も聞かなかった。


とにかく私は急いでレストランに財布を取りにいき、それをスイートルームまで届けた。


不安だろうから、早くお届けしたいという気持ちでいっぱいだった。


工藤様は部屋のドアを開け、私を入れてくれた。


「大変お待たせ致しました。お財布、見つかりましたのでお届けにあがりました」