そんな、改めて聞かなくても……


総支配人みたいなハイスペック男子と私とでは、全くレベルが違うんだから。


誰が見てもその違いは歴然なんだよ。


何だか、またちょっと悲しくなった。


「そ、そうですよ。私なんて昔から地味な顔がコンプレックスで……」


そう半分ヤケになって言った瞬間、体が急に何かに包まれた。


えっ、な、何?!


体温が直に伝わってきて、体が熱い。


嘘、私……


今、絢斗に抱きしめられてるの?


「一花……」


絢斗の口からこぼれ落ちる私の名前。


そして、熱い吐息が私の耳元にかかって……


ダ、ダメ、こんなの……


おかしくなりそうだよ。


「は、離して下さい! お願い、離して……」


必死で体を離そうとしたけど、その腕からは逃げられない。


だけど……


そう言いながら、同時に、反対のことを思ってる自分がいることにも気づいてしまった。


お願い、離さないで……って。


「悪い、急にこんなことして」


絢斗が謝る。