私は、身長165cm、中肉中背の普通の女性。


昔からこの地味な顔に自信がなくて、鏡を見るのも嫌だった時代がある。


ホテルマンとしては身だしなみが大事だから、今はきっちり化粧もしている。


専門学校でそれも習った。


だけど、やっぱり……


いくら化粧をして顔を作ったところで、すぐに自信がつくわけもなく。


今まで付き合ってた男性にも、結局、私のマイナス思考が邪魔をしてフラレてしまった。


新しい彼氏を作る気力もなくて今に至り、気がつけばもう25歳。


総支配人みたいな雲の上の存在の人を好きになるなんて……


自分でも青天の霹靂だったんだ。


身分違いにも程がある。


だから、私は、自分のこの気持ちを誰にも言わず、黙っている。


本当に恥ずかしいよ、こんな自分が。


深月絢斗さん……


私なんかが総支配人を好きだなんて。


「……さん、松下さん、どうしましたか?」