「ごめん、萌佳。私、しばらくは会えない……かな。ちょっと忙しくて」


何よ、忙しいって。


「ねえ、お願い。時間作ってよ。お、ね、が、い」


ちょっと可愛く言ってみた。


「萌佳……」


「明後日、6時半にこの前の居酒屋ね。予約するから必ず来てよ。来なかったら……」


来なかったら……全部、話してやる。


絢斗さんとのこと。


ホテル中に噂が流れたら、一花はきっと……


身分不相応な女のくせに、総支配人を誘惑したってみんなの笑い者になるわ。


いっその事、そうしてやりたいけど、もしも絢斗さんまでが悪く言われたらダメだから。


「いろいろ話されたくないことがあるでしょ? ちゃんと来てよね」


『萌佳、お願い。総支配人とのことは誰にも言わないで。私は……萌佳を信じて話したんだよ。友達だと思ってたから……』


「まるでもう友達じゃないみたいな言い方だね」