「分かんない…」
「まぁ、最近六花忙しいしね。でも、来れるといいね」
葵くんの言葉に静かに頷く六花ちゃん。
そっか、六花ちゃんドラマの撮影とか…色々忙しいもんね。
「柚月は?文化祭出れるの?」
「知らん。多分無理」
その言葉に、顔を上げる。
「えっ…」
柚月、文化祭出れないの?
顔を上げた柚月と目が合う。
「何?」
「あ、いや…」
そ、そっか。勝手に来れると思ってたけど…柚月も忙しいもんね。
うちの学校の文化祭は2日間に分けて行い、夜は後夜祭とかあって結構盛り上がるんだけど…
仕方ないか…
「文化祭は2人とも居ないのかー、寂しいね。ね、彩ちゃん」
「えっ…あ、うん。そうだね…」
「自由時間、俺とまわる?」
「え…葵くんと?」
「うん。嫌?あ、友達と回る?」
「あ、いや…まだそれは…」
「何で葵が彩と一緒に行動するんだよ」
どう返事をしようか迷っていると、柚月が身体を起こして葵くんを睨んだ。
「え、ダメ?だって、柚月来れないんでしょ?」
「…」
「あ、あの…」
「彩、帰ろ」
「へ?」
「今日も台詞合わせ手伝ってよ。行こ」
立ち上がって荷物を持ち、私の手を引く柚月。
イライラしている様子の柚月とは裏腹に、葵くんは笑っていた。
「ちょ…!あ、葵くん、六花ちゃんまたね!」
バタン
「面白いね、六花」
「……別に」
