「ゆずきくんて、むずかしそうな本読んでるよねぇ」
「かっこいい〜」
その頃だった。
彩と一緒に遊ぶようになってから、クラスメイトからの俺への視線が変わった。
下駄箱には手紙が入っている日もあったし、登下校で待ち伏せされている時もあった。
「ゆずきくーん!ちょっと来てー!」
他クラスの女の子にキャーキャー言いながら呼び出される日もあった。
「…」
元々注目を浴びるのが好きじゃなかった。
なのに、日に日に他クラスの人が見に来たり、上級生が見に来たりする日もあって。
男子の友達は減り、女子のウザイ視線は増えた。
「あ、ゆずきくん」
「…あや」
小学校3年生に上がった時、彩とクラスが離れてしまい会う機会が少なくなった。
彩は友達が多かった為、グラウンドで友達と遊ぶ姿を見かけたりはしていた。
「掃除、サボっちゃダメだよ」
「…サボってない」
玄関先の掃除担当の俺と、外の花壇まわりの掃除担当の彩。
唯一掃除の時だけ、彩とゆっくり話せる時間だった。
