「あ、私行くね!また明日ね、翔子!」
チャイムが鳴り、屋上へ急ぐ。
大丈夫かな…翔子に思いっきり怪しまれたけど。
でも、翔子だし…もし何か勘づいても、多分黙っててくれる。
ギィィィー
重たい扉を開くと、そこにはいつものメンバーがいる。
「あ、彩ちゃん」
「…」
ニコニコと笑いかけてくれる新島くんと、黙ったままの六花ちゃん。
赤澤くんは、本を顔に被せて横になっていた。
「いつも思うけど…みんな屋上くるの早過ぎない?」
「だって俺たちは階段上がってすぐだもん。ね、六花」
「…」
あっ、そっか…新島くんたちは教室から屋上まで近いもんね。
…赤澤くんは、今日1日休みだったのに屋上には来てるし…
「遅い」
私が座ると、本の隙間から赤澤くんが顔をのぞかせる。
「…これでも急いで来たんだよ」
「ふーん」
よいしょ、と赤澤くんが上体を起こすと、サラサラの髪の毛が風に揺れる。
その姿に見とれていると、六花ちゃんがズイっと割り込んできた。
「ゆず。六花今度ドラマに出ることになったから、セリフ合わせ付き合ってよ」
そう言いながら赤澤くんの腕に手を回し肩に寄り添う六花ちゃん。
「なんで俺?葵にやってもらえよ」
あおい……?
チラッと新島くんを見ると、俺の事だよ、と頷く。
新島くん、下の名前葵って言うんだ。
「えー、何で?素人に頼むよりゆずの方がやりやすいもん」
お願い!と手を合わせる六花ちゃん。
そんな様子を見て、赤澤くんは大きく息を吐いた。
「…分かったよ。ちょっとだけな」
「ほんと!?ありがとうゆず!!大好き〜!!」
分かりやすく嬉しそうに笑う六花ちゃんに、不覚にもときめく。
可愛いなぁ…ほんとに。
