風が吹き抜ける屋上に、放課後私は立っていた。



「…」



誰もいないし。



屋上に来てって言ったくせに、なんで本人がいないのよ…!




まさか、からかわれた…?



「うぅ…寒い」



体育座りでブルブルと震えていると、重たい扉が開いた。




ギィィィー




…来た?




「あれ、君は…確か、彩ちゃん?」



そこにいたのは赤澤くんではなく、新島くんだった。




「新島くん…」




「なんで彩ちゃんがここに?」


「あれ?その子昨日の…」



新島くんの後ろから、ひょこっと六花ちゃんが顔を出す。




ブルブルと震える私を見て、新島くんがクスッと笑う。




「そんな薄着で、寒いでしょ。ほら」


ふわっと掛けたられた上着に、驚いて新島くんを見上げる。




「え、いいよ、悪いよそんな…」



「いいから。彩ちゃんは誰か待ってるの?」




「あ、赤澤くんを……」



そう言った瞬間に、六花ちゃんが目を見開く。



「はぁ!?なんであなたがゆずを待ってるの!?」




物凄い剣幕に、ビクッと肩を揺らす。




「おいおい、六花ー」



「まさかあなた、昨日の今日でゆずの事が好きになってー」



ポン



「飛躍しすぎ」


六花ちゃんの言葉を遮って後ろから来たのは、赤澤くんだった。