6・メイド、雇われました
「まったくなんてことを……胃がキリキリ痛む……だからこんな奴を住まわせるのは反対だったんだ……」
 ブツブツブツブツ……。
 お小言をつぶやきながら、私の前を足早に歩くオールバックのひょろっとした人。厨房に血相を変えて駆け込んできたこの人は、フォーンさんという、竜王城の裏方を取り仕切る執事さんでした。
「トープがいながらなんたる失態」
「いやいや、トープさんは全然悪くないですよ。忙しい時間帯だったし、私がちょーっと使うお皿を間違えただけで……」
「だまらっしゃい!」
「ふぁいっ!」
 竜王様がいるという部屋まで連れていかれる間、ず~~~っとグチグチ文句言われっぱなしなのでつい反論したら怒鳴られました。すんません。
 というかほんと、トープさんは悪くないし、私が適当にお皿を使ったのが悪いんだし。
 この調子で竜王様にも怒られるのかしら?