以前『どうですか?』と勧めたら拒否られたことがあったので、私の手料理をちゃんと食べてくれるのかちょっと心配だったけど、料理長が自ら毒味……ではなく、味見をしたのが奏功したのか、今まで遠巻きにしか見ていなかったメイドさんたちも賄いを食べてくれるようになりました。厨房の端っこに、一度に四~五人は使えるダイニングスペースも作ってもらったので、そこで手の空いた人から順に、ちゃんと座って食べてもらっています。
 だいたい自分の持ち場が決まっているので、調理が終われば調理チーム、配膳が始まれば盛り付けチーム、そして配膳が終われば給仕チームが賄いタイム、というようにシフト制にしてみました。そしたら、あんなにバタバタ忙しなかった厨房に、少し余裕が生まれたような気がしています。
「少しの時間でも座って食べるって、いいわね」
「立ちっぱなし、働きっぱなしだとほんっっっと疲れるし」