私は覚悟を決め、両手首を揃えて竜王様に差し出しました。
 背後でことの成り行きを見守っていたシャトルーズさんが、「え? レイラ!?」と慌てています。
 大丈夫、こちらにご迷惑をかけないよう、ちゃんと竜王様には説明します。きっとわかってくださいますよ! あ、それからこちらの村の状況も、改善するよう訴えておきますね。きっと都と村を往復する定期馬車くらいはすぐにでも手配してくれると思います。なにせ竜王様は国思いの優しい王様ですから。
 うつむき、竜王様の言葉を待っていると。
「くっ……くくく……」
 竜王様が笑いだしました。
「なにがおかしいんですか。簡単に私が捕まったからですか?」
「違う。ライラがおもしろい勘違いをしているからだ」
「勘違い?」
「そうだ。誰がそなたを捕まえると言った?」
「だって竜王様、私を捕まえるために捜していたのでしょう?」