これ、竜王城でもよく作っていたんですよね。根菜を料理に使うことが多かったから。
 なんて思いながら器に注ぎます。
 湯気とともに香るいい出汁の香り。今日もおいしそうです。
「できました」
「は~い」
 ホカホカと湯気を立てる器をトレーにのせ、シャトルーズさんがお客様のもとに運びました。
 せっかく来てくださったんだから、お口に合いますように!
 キッチンから祈りながら様子を見ていると、ひと口飲んだお客様がシャトルーズさんになにか話しかけました。
 まさか、お口に合わなかった、とか?
 青ざめる気分でキッチンに戻ってくるシャトルーズさんを見ていると、シャトルーズさんはニコニコしています。
 何事!? と首をかしげていると。
「おいしいから、これを作った者を呼んできてくれって頼まれたわ」
 はい?
 なにそれ『シェフを呼べ』的な?
「え?」
「とにかく行ってきて」
「はあ……」