頬に手をあて、小首をかしげるお母さん。
「レイラさんのお料理もおいしいのでしょう? ボルドーが、『変わっているけどおいしい』って褒めてたわ」
「変わっているというか……まあ、この国ではあまり見かけない作り方ですね」
「そうなの? レイラさんのお料理を食べてなにかインスピレーションが浮かべば、この状況を打破できるかしらって思ったの」
「新メニューってやつですね」
「そう」
「いいですね」
「レイラさんの時間さえあれば、ぜひ食べさせてほしいわ」
「時間ならめっちゃあります」
「まあ!」
 なにせ都から逃げてきた身ですからね! 行くあてのない旅人ですからね!(いいように言ってみた)
「どこかで働きながら暮らせたらなぁって思っていたところなんで、宿と仕事が見つかればいくらでも伝授しますよ」
 ここでの暮らしが落ち着いたら……って思ったんだけど。