ボルドーさんが言うのでキッチンの方を見ると、お母さんがトレーにのせて運んでくるところでした。
「お待たせ。さあ、どうぞ」
 お母さんが出してくれたのは、焼き魚だけじゃありませんでした。
 焼き魚は焦げ目ができないよう絶妙な火加減で焼かれているし、海藻と野菜のサラダは色鮮やかで見るからに新鮮そう。なにこれごちそうの宝箱や~ん。
 思わずどこかのグルメレポーターのネタをパクってしまうほど、おいしそうな品々。
 まさかお母さん、昔竜王城で料理人やっていたとか、ないですよね? お城で竜王様にお出しする料理と言われても、納得のいく美しさですよ。
「いただきま~す! なにこれ、白身魚、ぷりっぷりじゃないですかっ! サラダも、歯応えあってシャキシャキでおいしっ!」
 見た目だけじゃなく、味も最高だなんて! 夢中で食べてしまいました。
「これでお客さんが来ないなんて、もったいない」
「ほんとにねぇ」