これまで『具』としてしか料理されてこなかったサティーバが、それ単体でメインとして登場しているのが珍しいのか、みなさん不思議な顔をしています。
「たまたま遠いところからやってきた旅人から聞いた料理を作ってみたんだよ。これが案外うまかったから、店に出してみようってなってね」
 私は顔出しNGなので、モーブさんがお客さんの相手をしてくれます。
 さもモーブさんが作ったように見せかけて、実は私がうしろでせっせとおにぎりを握っているという。それをラピスさんが運んでいきます。
『異国の料理』『どこか遠いところの郷土料理』みたいな感じで、適当に濁したおにぎりとお味噌汁は、庶民のみなさんにも好評です。
 そりゃあね、お味噌汁に関しては、竜王様もお気に召した一品ですもん。
 まだひと月ほどしか経っていないはずなのに、すでに遠い過去のようだなぁ。
「……レ……レイラ!」
「ふぁい!」