香りを嗅ぎ、少し口に含んで味を確認するモーブさん。
「う~ん……食べたことのない味だね。変わってるけど、すごくおいしいよ」
「昨日の乾燥海藻がいい味出してくれてるんです」
「乾燥した海藻がそんな味に深みを出してくれるなんて、知らなかったわ」
「なかなかいけるでしょう?」
「ああ」
 ここでも『出汁』が受け入れられてよかったです。

 そして、夜。
 店じまいの後のお楽しみ、賄い時間にさっきのお味噌汁を温めなおして、モーブさんとラピスさんに出しました。もちろんおにぎりも添えて。
「なにこれ、めっちゃおいしい!」
 お味噌汁をひと口飲んだラピスさんが瑠璃色の瞳を見開いています。
「うふふ」
「レイラの言ってた通り、オニギリとよく合うね」
「でしょう?」
 おにぎりとお味噌汁はベストマッチ。だから、この世界の代用食品でも、きっと合うと思っていたんです。