26・決行
　マゼンタに先導されて私がヴァヴェル兵を引き入れる門に到着すると、そこにはすでに大鍋の準備ができていました。
「今火を起こしているから。すぐにでも調理できるよ」
「了解です！」
　トープさんが示した先では、雑用係さんが火を起こしてくれていました。しかもちゃんと、簡易のかまどで。大きめの石を積んで作ってあるんですが、まさかそこまで準備してくれているとは思いもしませんでした。これなら料理しやすいですよね。
　かまどの近くにはテーブルが置いてあり、そこに材料が綺麗に並べられていました。さすがはプロの料理人さんの仕事。私と違って綺麗に切り揃えられています。
　そして材料とともに、大量の簡易食器も用意されていました。
「こんなところで火を使って、竜王様に気づかれないかしら」
　いくら庭園の端っことはいえ、ちょっと大胆すぎたかなと気にしていると。
「竜王様はもうお休みになられてますよ」
　今日もツンデレフォーンさんは来てくれていました。
「フォーンさん！　ありがと！」
　もう眠っているなら大丈夫でしょう。
「あとは料理するだけですね。がんばりますよ！」
　私は早速腕まくりをして、スープ作りに取りかかっていると、庭師さんに声をかけられました。
「こちらの使用人たちも配置済みです」
「ありがとうございます」
「私も隠れますけど、いいですか、くれぐれも無理はしないでくださいね」
「はい！」