「たしかに。ライラックの話を聞いてすぐに、竜王様は国境付近や国内の警備を強化されたようで、騎士たちが大勢出かけていきました。夜陰に紛れてとはいえ、大軍が動くのは不可能と言えるでしょう」
 庭師さんもうなずいています。
「まあ、用意できるだけたくさん作っておこうとは思います。あとは、食器をどうしようか、悩ましいところなんですよね……」
 前世でいうところの『使い捨て食器』なんてなさそうだしなぁ。百均とかマジ便利だよね……って、ない物をねだっても仕方ない。
 厨房にあるありったけの食器でも足りなそうだしなぁ。なによりもったいない。
「食器なら、騎士団が遠征などの時に使う携帯用の簡易食器が倉庫にあったはずです」
「本当ですか!」
 こちらは雑用係さんからの情報。携帯用の食器なら軽くて丈夫ですよね。
「それって、お借りすることはできますか?」
「定期のメンテナンスといえば持ち出せます」