23・ライラ、捕われる
 ──コツ、コツ、コツ。
 今日に限って廊下に響くのは、フォーンさんと私の靴音だけ。誰もいなくなってしまったかのように静かな城内。
 あ~憂鬱。
 これからもう一度、思い出した記憶の話をしにいきます。竜王様のもとへ。
 あ~憂鬱。
 何回同じ話させるね~ん! というツッコミは置いといて。捕まえるならさっさとやっちゃってください。牢屋にブチ込まれるならそれも受け入れるから。

「連れてまいりました」
「入れ」
 竜王様の執務室、お許しが出たので中に入りました。顔を伏せる前、真正面の重厚な机の向こうに竜王様が座っているのが見えました。その左右には、インディゴ様、スプルース様、バーガンディーさんが並んでいます。
 これ、完全に尋問する気満々の布陣ですやん。まあ仕方ないけど。
「ライラ。そなたがヴァヴェル王国のスパイだと報告を受けたのだが、本当か?」