べつに竜王国から追放になってもいいんです。でもやっぱり……かなりなじんじゃったから、寂しいんですよ。
 竜王様も、ほんとは雲の上のお方で、話すことなんてできない人なんだけど、なんか偶然が重なって、普通におしゃべりができたと思っていたんだけどなぁ。
 フォーンさん、いや、竜王様からの指示を待つ間、これからどうなるかわからなくて、柄にもなく沈んでしまいました。
「大丈夫、なんとかなるさ」
 トープさんが頭をポンポンっとなでてくれました。
 気を逸らすために夕飯の支度をしようにもそわそわして集中できないし、なんとなく厨房のみなさんも上の空なので、開きなおってお茶なんかを飲んでいたら、フォーンさんが戻ってきました。
「竜王様がお呼びだ」
「わかりました」
 私は静かに立ち上がり、フォーンさんのうしろをついていきました。