「よく来てくれたわね。あなたに折り入ってお願いがあるの」
「はい」
「とっても簡単なことよ」
「はい」
『お願い』と言いつつ、それはもはや『命令』ですよね？
　ゴージャスなブロンド美女の女王様、顔は笑っているけど目が笑っていないから怖い。ま、そもそも下っ端使用人の私に『断る』なんて選択肢は用意されていないしね。
　着いたテーブルには温かな湯気を上げているお茶の入ったティーカップと、よくわからない小ぶりの円筒が置かれていました。
「まあ、お茶を飲んで。飲みながらお話しするわ」
「はい。いただきます」
　相変わらずすごみのある笑顔のままお茶を勧められたので、遠慮なくいただくことにしました。
　ちょっと甘味のある、変わった味のお茶。
　高級茶葉は味が違うのね。しっかり味わっておかないと。
　庶民では口にすることのないだろうお茶を大事に味わっていると、女王様が『お願い』の話を始めました。