号令と同時にヒュンヒュンヒュンヒュン……と、次々に飛び出していく矢。いくら強弓自慢でも、敵はかなり上空、届くのかいな? と思っていたら、これ、普通の矢ではありませんでした。
 放たれてしばらくすると、自然に炎に包まれ始めたじゃないですか。速度も上がっていきます。
 ほほ~、そっか、魔弓って言っていたわ。
 地上から普通の弓を放ったって届かないよね。弓といいつつ地対空ミサイル的なものなのでしょう。勢いを増していく弓が、敵を散り散りにしました。

 力を増した竜王様と魔弓の援軍のおかげで、敵はほぼ壊滅したようでした。
 敵の退散を見届けた竜王様たちが、静かに降りてきました。
「竜王様! お怪我はありませんか?」
 駆け寄ってみても、綺麗な鱗は傷ひとつなくキラキラしています。
「ライラは、この姿が怖くないのか?」
 顔を近づけ、黒ヒスイの瞳でじっと見つめてきました。
「え? 怖い?」