それはものすごーく、見覚えのある形状。文字盤には数字が十二まであって、長針と短針があって、秒針がカチコチ音を立てて……わぁ、これだけでも涙が出そうなくらいホッとします。
「まだ昼の……二時、ですか?」
「そうだ」
『前世なら』十四時を示していました。
 異世界の時間が前世と同じかどうかわからないから自信なかったけど、どうやら同じみたいです。そんなところでまたちょっとホッとしてみたり。
「二時って、まだ早すぎません? 夕飯の開始はそんなに早いんですか? ついさっきお昼が終わったところでしょう?」
「夕飯が始まるのは六時だな」
「どんだけ準備に時間かかってるんですか!」
 王様に出す料理って、そんなに手の込んだものなんだ。庶民には理解できない。