そう力説した親友のユイちゃんに、強引に連れていかれている料理教室の帰り道。
 毎週うちの会社まで迎えにきてくれるユイちゃんのおかげで一応お稽古は続いているけど、今のところ役に立つ予定はまったくなし。
 今だって、明日──土曜で休日──一日部屋でグータラ生活をキメるために、コンビニに寄ろうとしているくらいだもんね。
「明日は布団から出ないぞ!」
 お菓子に飲み物、カップラーメンとか、できるだけお手軽に食べられるものを買うつもり。そこに料理教室で得たスキルを活用する余地はありませ~ん。
「録りためたままになっているドラマとかも見なくちゃ。……あれ、電話」
 家の近くのコンビニに足を踏み入れた時、カバンの中のスマホが鳴った。
 表示されている名前はユイちゃん。なんだろう。さっきまで一緒にいたのに。
「はい、もしもし?」
『あ、レイラ? もう家?』
「ううん、まだ」
『あれ、遅くない?』