なにしろ得体の知れないよそ者ですから、勝手に城内をうろついていたら不審者丸出し、衛兵さんにつまみ出されてしまいます──ということで、必要以上に厨房から出ないように気をつけていました。たまたま厨房から出て、たまたま竜王様に遭遇したことはあったけどね! ま、それは単なる偶然として。
 あの日──空から落っこちてきた日以来、庭園にも行っていなかったなぁ。
 あの時はああ見えて(どう見えて?)パニクっていたから、じっくり庭園を観察しいてる余裕もなかったわ。ただ、広くて綺麗だなぁとは、漠然と思ったけど。
 今や『厨房に私アリ』。不審者とは言わせないもんね。
「じゃあ、お言葉に甘えてちょっと休憩いただいてきま~す」
「いってらっしゃい」
 ということで、私は外へ出ました。