竜王様の指したお店は、まさしく私が行くべきお店でした。
「ありがとうございます。りゅーおーさまはもう戻られますか?」
「いや、もう少し視察して帰る」
「では、ここで」
 私がおおげさにならないよう、軽く会釈をしてお店に向かおうとした時。
「今日もライラのスープ、楽しみにしてるぞ」
 うしろから声をかけられました。
「今日も腕によりをかけて作りますね! そうだ、今度から知り合いに会った時は、いきなり腕を掴んだりせずに、ちゃんと声をかけてくださいね。変質者と間違えられますよ!」
「……っ! ライラっ!」
「では~!」
 私は言うだけ言って、その場を秒で立ち去りました。