17・国思いの王様
 市場にお使いに出たら、まさかの竜王様と遭遇。いやぁ、驚きました。
 竜王様はマントを羽織りフードをかぶって、旅の商人になりすましていました。よく見ると、市場の中には同じような格好をした本物の商人さんもいます。
「余の見た目より、ライラの見た目の方が目立つと思うぞ」
「え?」
 私の見た目? とくに代わり映えしないと思うんだけどなぁ。肌の色はここの人たちと同じ色白だし、背丈も変わらないし。
 竜王様に言われたことがわからなくて、キョトンとしていたら。
「その栗毛色の髪とスモーキークォーツの瞳。この国では珍しい」
「あ、そうでしたね」