13・始まりはため息とともに
 さ~ていよいよ始まりますよ『竜王様の婚活パーティー』!
 昨日はお疲れ竜王様でしたが、おやつしておしゃべりした時には笑いが出たりして元気になっていたようなので、今日は張りきっていいお嬢様を見つけてもらいたいもんです。

「私たちのパーティーはもう始まってるんだ。しっかり働くよ!」
「はいっ!」
 厨房では、朝から気合が注入され、一斉にトープさんの言葉に反応するメイドさんたち。ああ、いよいよって感じがします。
 厨房は本日調理に徹して、運ぶのはウィスタリアさんの下で働くメイドさんたちです。
 ウィスタリアさん配下のメイドさんたちは普段、下級メイドさんは掃除や洗濯、上級メイドさんは竜王様をはじめ、貴人の身の回りのお世話などをしていて、厨房のメイドさんたちとはまったく違う動きをしています。だからあまり接点がなかったんですが、最近そちらのメイドさんたちも厨房で賄いを食べるようになったので、よくおしゃべりをしてもらえるようになりました。
 ちなみにボーイさんたちはフォーンさんが統括しています。余談ですが。
 なにはともあれ、今日は使用人総出です。
「私はなにをすればいいでしょうか?」
「なにもしなくていい、と言いたいところだけど──」
 お伺いを立てる内容が、仕事のできない子丸出しだけど仕方ない。いつも『触らなくていい!』って言われているんですから。
「厨房は今日、めちゃくちゃに忙しいから仕事を増やされるのは困る」
「おっしゃる通り!」