竜王様、ごはんの時間です!~グータラOLが転生したら、最強料理人!?~

 いきなり慌てだした私に、マゼンタがため息をついています。
 すんません、取り乱しました。

 初めて来ました、竜王様の執務室。立派な木製のドアが威厳を醸し出しています。
 大きく深呼吸して……よし。
「いざゆかん!」
「粗相のないようにね」
「りょ!」
 マゼンタとともに気を引き締めなおし、ドアをノックしました。
 すぐにドアが開き、顔を出したのはフォーンさん。なじみすぎた顔が出てきたので、ちょっと気が抜けた……じゃないわ。気を取りなおして。
「お茶とお菓子をお持ちしました」
 私がマゼンタのワゴンを示すと、フォーンさんはそれを確認しました。
「……入れ」
「失礼いたします」
 フォーンさんの許しを得て、そっとワゴンを押して私とマゼンタは執務室に入りました。
 初めて入る竜王様の執務室は、シックで落ち着いた色調でまとまっていて、たしかに威厳に満ちた王様のイメージにぴったりです。