今度は私が首をかしげたら、トープさんがまた目を見張りました。
「やっぱり怖いもの知らずだよ。……まあいい、竜王様にお出しするお茶の用意をしなくちゃね」
「はい!」
 あきれたような、あきらめたような。トープさんはそんな顔をしています。
 とにかくお茶の用意を言いつけられたので、私が早速準備を──って動きだしたら。
「あっ、ライラは張りきらないで! マゼンタ! 手伝っておやり。運ぶのもマゼンタがやるんだよ」
「わかりました~!」
 止められました。代わりにマゼンタが動きだしました。
 いいんです、わかっています。私が運んだら、竜王様の前に並ぶ以前に、廊下に落とすとか、食器を割るとか、とにかく不安要素しかないからでしょう?
 クッキーが焼き上がり、少し冷まして落ち着かせてから竜王様のお茶の支度をしました。
「ほんっっっと、ライラには驚かされるわ」
「そう? そんな力いっぱい言わなくても~」