12・穏やかな時間
『では後ほど。約束だぞ』
 って、竜王様、わざわざ振り返って言いました。
 これはおやつをとても期待されてますねぇ。さっさと厨房に戻ってクッキー焼かなくちゃ。
「トープさ~ん、オーブン借りますね~」
「ああ、いいよ」
 トープさんに断って、オーブンを使わせてもらいます。あくまで私は邪魔にならないよう、隙間に賄いやおやつを作らせてもらっている身ですからね。
 天板を出してきて、切ったクッキーのタネを並べていきます。その間に予熱、と。
「もうさっきのクッキーはなくなったのかい?」